営業、事務、経理など様々な職種がありますが、そのどれにも付随する業務として挙げられるのが電話応対です。
相手の顔が見えない分、感情が読み取りづらく、逆にこちらの感情も伝えづらいコミュニケーション形式になりますから、苦手に感じる方も多いですよね。
あらかじめ電話応対が苦手だと分かっている方は、コールセンターのような電話応対がメインとなる仕事には就かないと思います。
でも外回り中心の営業など、いっけんすると電話応対とは無縁に感じる職種であっても出先で社用の携帯電話に電話が来ることは多々あります。
電話応対の何が一体ストレスになっているのか。克服する方法はないのか、むしろ電話応対のない仕事はないのか。の問いにお答えします!
電話対応が苦手で仕事を辞めたい!
電話応対が苦手という声はよく耳にしますが、その理由は一体どういったものが多いのでしょう。
「頭を切り替えなくてはいけないから仕事を中断するのがイヤ」
「ビジネス用の定型文をすらすら話せない/聞き取れない」
「顔が見えないので相手が怒っているかどうか判然としない」
「怒られることが多く苦手意識がついてしまった」
など、理由は多岐にわたっているようですが総括すると「電話をとって褒められるなどの成功体験を積んでいない、メリットが生まれない時間だと考えている」から苦手意識が克服できないのが見て取れます。
しかし、電話で成功体験を積むというのは、ほとんどの方には想像がつかないのではないでしょうか。
例えば、私は以前ビジネスホテルのフロントをしていたことがあります。
そこはネットからの予約が基本となりましたが、1日に10件ほど、電話での直接予約もありました。
道がわからない、駐車場はどこだ、チェックインが遅れる、などの要件で電話を受けることもありました。小さなホテルなので、基本的にフロントは私一人、電話番もいないので当然私が電話担当です。
電話応対なんてしたことがない私は、はじめの頃本当に電話を取るのがイヤで、深夜にかかってくる電話には無視を決め込むこともありました。
でも、いつまでもそんなことはしていられないので先輩に相談してみました。
先輩は私より5つ年上で社会人経験のある方でした。当然、電話応対もお手の物です。そのとき先輩が教えてくれたコツが今でも私の糧になっています。
「自分が電話をかけるときを想像してみて。何かを知りたくてガイダンスを求めているわけでしょ? つまり結局は電話をかける前にハテナだった部分が消えていれば電話応対は百点なんだよ。そこに言葉遣いとか思いやりが加われば好意を持ってもらえるけど、そこじゃない。相手のハテナをこっちから迎えに行って、しっかり答えを提示すればいい。それで百点だから、言葉遣いはそのあとだよ」
私はそれを聞いてはっとしました。
かかってくる電話はすべて質問で始まることに気づいたからです。
「○日に○人で泊まりたいんだけど空いてる?」「○円くらいで夕食付きのプランはある?」「○駅からのルートはどんな感じ?」など、ハテナの答えを求めて電話をしてくるのであって、私の丁寧な言葉づかいを確かめるために電話しているわけではないのだと理解しました。
それから、少し拙い部分はあれどしっかり相手のハテナを聞き出し、返答するように心がけました。当然、深夜の電話も無視せず受けるようにしました(当たり前です)。クレームは一件も生まれませんでした。
そうした結果を成功体験として、少しでも慣れない電話応対に対策していければストレス軽減につながるのではないか、と思います。
電話がストレスで仕事がつらい
とはいっても、電話応対が苦になって仕事そのものが嫌になってしまうこともあるかもしれません。
対策として最もおすすめなのは、自分が電話している声を録音して聞いてみることです。上司、同僚に頼んでフィードバックをもらうのも効果的です。
いずれの方法も、電話している自分を客観視するための手段です。会話は無意識で上達していきますが、それは見えないフィードバックを受け取り続けているからです。
例を挙げましょう。
自分が話し下手だと考えている方は「自分が話した」結果「相手がつまらなそうな顔をした」もしくは「お前の話はつまらない」と言われたから「自分の話はつまらない」という結論に至っています。この場合つまらなそうな顔や、つまらないという直接の言葉がフィードバックです。
受け取ったフィードバックをもとに人は自身の行動を望ましいものに変化、成長させていきます。しかし、電話は冒頭でも述べたように相手の顔が見えません。声のみを交信させる手段でフィードバックを得るのは難しいです。
だから、客観視することで電話している自分についてのフィードバックを得よう、というわけです。
自分の歌声を録音し聴きながらお手本に近づけていく歌の練習のように、電話応対もそうした練習を積むことでどんどん上達していきます。
自分で録音するのが難しい環境であれば、周りの人にフィードバックをもらいましょう。
ここで注意してほしいのは、フィードバックはできるだけ具体的にもらうようにしましょう。
「話し方がたどたどしい」ではなく「はじめの挨拶はすんなりできるのに相手が本題に入ると慌ててしまい、急に自信なさげに保留を押してしまっている」というように細かく行動を聞いてみましょう。
例えば今の例では、挨拶ができているのに本題を処理することに苦手意識を持っているということなので「メモを取る練習をする」「予めどういった内容の連絡、問い合わせが多いのか調べて心の準備をしておきぶっつけ本番にならないようにする」などの対策を講じることができるようになります。
電話応対が苦手、ストレスだ、とひとくちに言ってもこうして原因を分析していくことで解決の糸口が見えてくるのではないでしょうか。
電話対応がない仕事ってある?
ここまでしても電話を取りたくない、もうそもそも電話の音を聞くだけで冷や汗が出る、無理。という方もいるでしょう。
私も一時は電話が嫌すぎて、電話の通じない海上や山で生きていこうと考えたことがありますので気持ちは痛いほどわかります。
克服なんてできっこない、という強い意志をお持ちであれば電話応対のない仕事を選んでしまいましょう。
代表的な例でいえば「工場」がおすすめです。工場勤務も経験した私ですが、本当に人と喋らなくても働けてしまいますので「ご安全に!(工場版のおはようございます、みたいなものです)」「おつかれさまでした」以外の日本語を話さず勤務が終わる日もザラにあります。本当に人が嫌いだという方には天職かもしれません。身体はキツイです。
肉体労働系はたいてい電話応対がありません。「現場作業員」「鳶職」「交通誘導員」なども電話にでる機会は一切ありません。
身体を使うのもちょっと……というわがままな方には専門職をおすすめします。なかでもBtoB(企業を相手に利益を出す)よりはBtoC(個人を相手に利益を出す)の専門職がおすすめです。
「タクシードライバー」「アーティスト」「バリスタ」「作家」「調理師」などは電話に出ません。あとは裏方業務であれば、あまり人と触れ合う機会がありません。
ただ一つだけ注意点として、現代社会において電話応対は必須のスキルとなっていることを理解しておきましょう。
新卒社会人としてビジネスマナー講習会を受けると、確実に一時間以上かけてこの電話応対を叩き込まれます。会社に入って最初に任される仕事が電話番、という会社も珍しくはありません。
つまり電話応対のない仕事を探すということは、門扉をかなり狭める選択であることを念頭に置いておきましょう。それでも、選べる職種は少なくありません。自分に適した仕事を選べる可能性も十分にあります。
まとめ
いかがでしたか。電話という声しか伝わらない特殊なコミュニケーションはやはりストレスを多く感じるもの。うまくテンプレート化できれば楽なのですが、なかなかうまくいきませんよね。
ここでご紹介した方法を参考に、まずは苦手克服を目指してみていただければと思います。そうして、どうしても無理だと感じたらすっぱりと辞めてしまっても良いと思います。
ストレスを感じながら我慢するより、あなたの適性に合った職種を選ぶことが大切だと思います。ご覧いただき、ありがとうございました。
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