パワハラ、セクハラ、モラハラ、アルハラ……あらゆるハラスメントやブラック環境での労働が社会問題になっていますが、そうした状況で社員ができることって、とってもすくないですよね。
言いなりになったり、反発して空気が悪くなってしまったり、あまりいいことはないように思えますし、実際そういう職場に直面したとき多くの人が取る選択は「退職」なのではないでしょうか。
現在は売り手市場なので、仕事はたくさんあります。業界や職種によっては引手数多であることも珍しくありません。こんな状況ですから、理不尽な会社や職場からは距離を置くのも有効な手ですよね。
でも、初めて退職する方や円満退社しかしてこなかった方にとって「嫌な職場の退職」は初めての経験となりますから、勝手がわからない、なんてことがよくあります。
基本的に退職の流れとしては退職願(届)を上長に提出し、期日を相談の上定めて引き継ぎ業務をこなし、退職……となります。
その間に送別会を開いてもらったり、同僚に挨拶をしたり取引先に伺ったりします。
しかし、これは円満退社の場合。嫌な職場から一刻も早く別れたくて退職した場合、こうした円満退社によくある流れを踏むことなく辞めたくなるものです。
顔も見たくない、そう思ってやめるわけですから、当然といえば当然です。挨拶だって、本当はしたくないし、特定のひとりにだけ挨拶せず辞めてやりたい、そう思うことだってあるかもしれません。
というわけで、今回は円満でない退職の場合、挨拶はどうすればいいのか。最低限のマナーを守った退職の挨拶をまとめてみました。
退職の挨拶しないと社会人失格?
まず、大前提としてバックレは厳禁です。当たり前ですが。
退職の意向を示し、書類を提出したなら基本的に会社はその人を引き止めることができません。法定上当然の権利を持って退職するわけですから、それについて意見をする資格は課長にも、部長にも、社長にだってないのです。
ただ、バックレは別です。バックレと言っても上記の手順をしっかり踏襲したうえで辞めさせてくれない場合はバックレにはなりませんが、問題は手順を踏んでいない場合。
意志の表明をせず、書類も提出せずに会社へいかなくなるというのは無断欠勤を意味します。
あなたは辞めたつもりでも、会社はあなたがそこで働くものだと思って業務を割り振っています。
当然、一人分の業務が手付かずで余るわけですから、誰かが補ったり、場合によっては損害が生まれてしまう可能性もあります。そうなるとその責任はあなたに請求される可能性があるのです。
これは入社時に書かされた契約書に明記されているはずですので、機会があれば目を通してみてください。
バックレることなく、しっかり規定の手順を踏んでやめるというのは、マナー以上に自分の身を守る意味も含んでいるのだということを知っておくと良いのではないでしょうか。
また、その観点に立つと、べつに同僚への挨拶はなんら法的理由がある行為ではありません。
マナー以外に挨拶をする理由はありませんし、挨拶せずに辞めたところでバックレにはなりません。
ですが、もし仕事を辞めて別の会社で同じ職種に就こうと考えているのであれば、挨拶することをおすすめします。
退職で嫌いな人に挨拶するコツと心構え
とはいっても、退職の際の挨拶すらしたくない・・・と悩む方は、いじめやパワハラなどなにか我慢ならないことがあって退職する方がほとんどだと思います。
その元凶となった相手に退職の挨拶をするなんて、考えただけでもムカムカしてきますよね。
なので、嫌なことは一度で済ませてしまうことをおすすめします。実際にわたしが経験した例ですが、朝礼やミーティングの場を借りて簡単に一言、業務連絡と同じくらいの軽さでさらりと伝えてしまいましょう。
職場にいる全員が嫌いで仕方ない場合はそれで終わりで良いでしょうし、もしその中にも仲良くできた人がいたり、お世話になった人がいる場合は後ほど個別に伺うようにしましょう。
その際に簡単に菓子折りなど持参し、辞職した本当の理由を打ち明ければ失礼には当たりません。「わたしには本心を打ち明けてくれたんだ」と相手も嫌な気分にはならないでしょう。
無理をして全員に大きな菓子折りを用意して、嫌いな人にもひとりひとり挨拶してまわる必要はありませんので、心配しなくても大丈夫です。
あくまであなたの雇用主は会社であり、管理するのは上司です。そしてあなたがひとたび辞めたいと告げれば会社はそれ以上何も言えません。
これまであなたを追い詰めてきた同僚は、退職する際に実はあまり関係ないのです。気楽にいきましょう。
ですので、個人的にお世話になった方、今後も関係を続けていきたい方には正直に気持ちを打ち明けてから去るようにしましょう。せっかくよい出会いがあったのにそれすら失ってしまうのは、もったいないことです。
嫌な職場で退職の挨拶はどうする?テンプレ紹介
退職願いを書いた覚えのある方はご存知だと思いますが、退職する方のほとんどがこの一文をもって仕事を辞めています。
「一身上の都合により退職することとなりました」です。
もうこれだけで全てが終わります。
大丈夫です。魔法の言葉です。
不安なら三回復唱してみましょう。怖くなくなりましたね。
朝礼やミーティングの場を借りて言うように勧めたのは、一度で済むという手軽さに加えて本当はもう一つ理由があります。「質問されない」ことです。
集会の場をぶった切ってまであなたに「一身上の都合って?」なんて切り込んでくる勇気のある人は流石に居ないでしょう。居たとしても、普通一身上の都合の内容を聞くようなことはしませんから、その人が非常識であることが職場に広まるだけです。
社会人をそれなりにちゃんとしている人なら、一身上の都合と聞いてそれ以上追求したりしません。なので、もうこの言葉を退職が決まった時点で放つだけでおしまいです。
そして、しっかり挨拶をしてから去りたい相手にだけ、こっそり菓子折りとともに理由を打ち明ければ、自然な流れで挨拶ができるのではないでしょうか。
それでも、嫌な職場に対しても挨拶をして去ろうとするくらい律儀なあなたはさらに考えるかもしれません。
「一身上の都合ってなに?」と聞かれた場合の対策はないのだろうか、と。
わかります。わたしがそうでした。そしてしっかりと準備してあります。魔法の言葉その2です。
「実家の親の調子が良くないので」もしくは「介護が必要になったもので」です。これを言われてもう何を返せるというのでしょうか。詰みです。チェックメイト。
老老介護や核家族なんて言葉が社会問題になりつつある今、親の介護や看病が理由に辞職することは全く珍しいことではありません。
ですが、あまりに意地の悪い非常識な人が相手ならまだ返してくるかもしれません。
「どんなご病気?」「要介護度は?」
こんなプライバシーに関わることを聞いてくる時点で相手は社会人失格なので無視しても良いと思いますが、最後まであなたが大人でいられるように、最後の言葉を用意しておきましょう。
「ここは会社で私達は同僚ですので、あまりプライバシーに関わることは話したくありません」
もうこれで終わりです。おつかれさまでした。あなたは最後まで大人として関わりきったのです。このあともなにか言ってくるのだとしたら、あなたはその職場を離れて本当に大正解だったのだと胸を張りましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
会社によってさまざまな風習やきまりがあると思いますが、いずれの場合も向き不向きがあります。退職したいと思ったのなら今がその時なのかもしれません。
マナーとして語られる退職の挨拶ですが、結局そうした風習やきまりによって左右する不確定なものです。画一的なものはありません。あなたの役職にもよって言うべき言葉は変わってきます。
ですが、それでも根本的に相手を思いやって気持ちよく仕事をするためにマナーは存在しています。その観点に立って、最低限相手を思いやった言葉を伝えればそれでよいのです。
テンプレは「一身上の都合により」です。あなたが何月何日にやめるのだ、ということさえわかればいいのですからこの場合のマナーはこれが最善です。
そのうえで、今後も付き合っていきたい方にだけしっかりと気持ちを伝えましょう。
この記事が少しでも役に立てることを願っています。ありがとうございました。
コメント